研究会一覧
MEETINGS
日本学術振興会 プラズマ材料科学第153委員会 スクール
『異種材料間の接着・接合技術の基礎と応用』
主催: | 日本学術振興会プラズマ材料科学第153委員会 |
協賛: | 応用物理学会プラズマエレクトロニクス分科会、プラズマ・核融合学会、 |
日時: | 平成30年2月22日(木)- 23日(金) |
場所: | 名古屋大学 ベンチャービジネスラボラトリー(名古屋市千種区不老町) アクセス:http://www.nagoya-u.ac.jp/access/index.html |
参加費 (資料代込み): |
お支払いは当日受付にてお願いいたします |
申込み締切り: | 平成30年2月9日(金)(予定) |
趣 旨: |
近年、エレクトロ二クス、環境・エネルギー、バイオ・医療などの様々な産業分野において、異種材料間の接着・接合を実現する新たな技術の開発が求められている。これらの材料プロセスでは、従来、主にウェットプロセスによる化学反応を利用した表面改質が行われてきたが、用いた化学薬品の廃液処理などの環境面の問題や、局所的な表面処理ではマスキングプロセスが必要とされるなど、プロセスの煩雑性やコスト面が大きな課題となっている。また、対象とする材料に応じて、表面処理時間や温度の制御が表面特性に大きく影響することなどがウェットプロセスの課題となっている。 本スクールでは、これらの異種材料表面の接着・接合のメカニズムを理解するとともに、接着・接合技術の現状および今後の展望に焦点を当て、スクール一日目は、異種材料表面の接着・接合技術の第1部(基礎編)として、当該分野において第一線で活躍する研究者・技術者による講演、および名古屋大学プラズマナノ工学センター施設でのプラズマ接着技術の実演を企画した。スクール二日目は、午後に行われる第Ⅱ部(応用編)の理解を深めるため、午前中に「異種材料間接着・接合技術の最新動向」と題して基礎講座を設けた。第Ⅱ部では、応用編として難接着材料や非金属材料などの接着性向上、金属と樹脂などの異種材料間接着・接合技術、さらに細胞接着技術などの最新の研究開発について紹介する。技術者,研究者はもちろん,当該技術の応用展開にご興味のある方は奮ってご参加ください。 |
プログラム【第1部】 異種材料間の接着・接合技術の基礎と応用』第1部 基礎編(プラズマ接着技術の実演含む) 平成30年2月22日(木) |
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12:30‐ | 受付開始 |
13:00‐13:05 | 学振第153委員会 堀 勝委員長 挨拶 |
13:05‐13:10 | 趣旨説明 永津 雅章 委員 |
13:10‐13:55 | (招待講演)化学的手法による異種材料間の接着・接合の原理と開発の現状 鈴木 靖昭 氏(鈴木接着技術研究所 所長) 概要:まず,従来の接着剤による接合の主な原理,すなわち化学的結合(一次結合,水素結合,ファンデルワールス結合),機械的接合(アンカー効果),ならびにからみ合いおよび分子拡散説について解説する。次いで,最近の射出成形,レーザー,電磁誘導,摩擦(撹拌),超音波などを用いた樹脂の加熱溶融による接合法も,溶融した樹脂が接着剤とした働き,前記接着の原理のいずれかに基づくものであることを述べ,代表的な接合法を原理別に分類してその概要を紹介する。 |
13:55‐14:40 | (招待講演)異種材料複合化のツールとしての低温大気圧接合技術:原理,開発の現状 重藤 暁津 氏 (特定国立研究開発法人物質・材料研究機構 構造材料研究拠点 表面・接着科学グループ) 概要:昨今IoT (Internet on Things) 化が進む軽量移動体では,電子基板から構造体まで幅広く有機・無機ハイブリッド材料の需要が高まっている.ハイブリッド化は材料の特性をなるべく損うことなく子業的に簡易な手法で実現される必要があり,そのためには低温大気圧で十分な結合能を異種材表面に発現させなければならない.本講演では真空中での理想的な清浄表面から始まり,常在雰囲気中の吸着物皮膜を有する表面にも接合性を付与するために必要な化学的・物理的要素について解説し,接合事例を紹介する. |
14:40‐14:55 | 休 憩 |
14:55‐15:40 | (招待講演)異種材料接着界面の解析とメカニズム解明 堀内 伸 氏(産業技術総合研究所 ナノ材料研究部門接着・界面現象研究ラボ 上級主任研究員) 概要:金属、樹脂、CFRP等の異種材接着・接合において、その信頼性・耐久性予測の一歩として、接着メカニズムを明らかにする必要がある。電子顕微鏡を中心とした接着・接合界面の解析により、表面処理(プラズマ、火炎処理等)による接着、樹脂—金属射出接合等のメカニズムを解明するための方法論について現状と課題を述べる。 |
15:40‐16:25 | (招待講演) プラズマ複合プロセスによる異種材料間の接着・接合の原理と開発の現状 大久保 雅章 氏(大阪府立大学 工学研究科 教授) 概要:PTFEに代表されるフッ素樹脂は,表面の反応性が乏しく,表面を活性化させ親水化し,両材質を接合・接着させることが最も困難なポリマーである。各種材料(ガラス,ゴム,金属)とフッ素樹脂の接合体は,例えばディスプレイ,医療器具への利用が考えられる。我々は3電位電極間で形成される,大気圧プラズマ気相重合装置を用いたプラズマ複合プロセスによる表面処理技術を実現した。本技術による異種材料間の接着・接合の原理と開発の現状を述べる。 |
16:25‐17:30 | 名古屋大学・大気圧プラズマによる超高速・超機能化異種材料接合オープンプラットフォーム施設見学とプラズマ接着技術の実演 近藤 博基 氏 (名古屋大学 プラズマナノ工学研究センター 准教授) |
17:30‐19:30 | 交流会 |
プログラム【第Ⅱ部】 『異種材料間の接着・接合技術の基礎と応用』第Ⅱ部 応用編 平成30年2月23日(金): |
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10:00‐ | 受付開始 |
10:30‐12:00 | (特別講演)異種材料間接合技術の最新動向 中田 一博 氏 (大阪大学 接合科学研究所 特任教授) 概要:自動車車体などの軽量化において、各種の構造用材料を適材適所で使いこなすマルチマテリアル化のものづくりの考え方が注目されている。このために必要な異種材料間の接合技術について、異種金属、金属と樹脂・CFRP、および金属とセラミックスの接合に関する技術動向とトピックスを紹介する。 |
12:00‐13:00 | 昼食 |
13:00‐13:05 | 学振153委員会 堀 勝委員長 挨拶 |
13:05‐13:10 | 趣旨説明 永津 雅章 委員 |
13:10‐13:55 | (招待講演)接合界面制御による同種・異種材料接合技術 廣瀬 明夫 氏(大阪大学大学院 工学研究科 マテリアル生産科学専攻 教授) 概要: 被接合材を溶融させる溶融接合法では、溶融・凝固や熱影響に伴う欠陥生成や組織変化が大きな問題となる。我々の研究グループでは、接合界面の反応や組織、構造を制御することで、欠陥や組織変化を生じないダメージ・フリー接合を目指した研究を行っている。本講演ではこのような観点に基づく新しい接合技術として、摩擦プロセス、ナノ粒子および酸化物還元反応を利用した接合についてその研究成果を紹介する。 |
13:55‐14:40 | (招待講演)ナノモールディングテクノロジーによる金属と有機材料の高強度接合 板橋 雅巳 氏(大成プラス株式会社 執行役員専務) 概要:異種材料を強固に固着させるには互いの界面に何らかのエネルギーを与え反応を起こさせて熱融着させるか、化学反応で接着させるかが一般的なこれまでの接合技術であった。この接合を金属界面を化成処理することで、nmオーダーの投錨効果が得られることを発見し物理接合での高強度接合を作り出すことに成功した。 |
14:40‐15:25 | (招待講演)プラズマ処理技術による難接着材料の表面改質と接着性の向上 神藤 高広 氏(富士機械製造株式会社 開発センター 第二技術開発部第1課長) 概要:自動車業界では、環境性能を求め車体の軽量化とリサイクル可能な熱可塑性樹脂材料の採用が増加傾向にある。接着・接合の前処理では、従来のエタノール等のウェット洗浄や火炎処理、プライマー塗布処理に換わり、安全且つ高品質な大気圧プラズマ処理が注目を浴びつつある。本講演では熱可塑性樹脂材の表面改質処理に適した大気圧プラズマユニットの紹介と難接着性を示す熱可塑性樹脂へのプラズマ処理方法についての事例を紹介する。 |
15:25‐15:40 | 休 憩 |
15:40‐16:25 | (招待講演)接着剤フリーガス吸着接合技術の研究開発と応用 多賀 康訓 氏(中部大学 薄膜研究センター 特任教授・センター長) 概要:接着・接合は物作り生産技術の一つであり、接合面の表面処理と接合・反応プロセスとで構成される。現実の接着接合はすべて化学接着剤により行われており実用接合系に対する最適な接着剤とその処理法及び適用可能範囲も確立されている。一方、化学接着剤接合の接着層の層厚、耐熱・耐候性、生体安全性、低温接着・接合性等の課題が徐々に顕在化してきた。また、究極の接着・接合として接着剤フリーの低温接合が古くから熱望されてきたが、現実の生産技術として適用できる手法は確立されていない。筆者らは、最近接合面に吸着する水蒸気ガス分子を基材とともにプラズマ等の表面処理により改質し表面官能基を制御最適化することにより100℃程度の低温反応処理により異種材料接合が可能であることを見出した。講演では、適用可能な系と接合力及び耐久性等の概要および界面反応メカニズムのXPS,FT-IR, SFG等による解析結果等を紹介する。 |
16:25‐17:10 | (招待講演)プラズマ表面活性化接合技術の現状と展望 宮脇 雄大 氏 (イーヴィグループジャパン 株式会社 テクノロジー部) 概要:ウェーハ接合技術はSOIに代表される先端基板製造、MEMSデバイス製造におけるウェーハレベルパッケージングやデバイスアセンブリ、IC製造における3次元実装など、さまざまな半導体製造工程に展開されている。本講演ではプラズマ表面活性技術を用いた同種/異種材料接合のためのフュージョン接合、3次元実装におけるハイブリッド接合、そして室温での接合を可能とするEVG ComBond技術におけるソリューションやプロセス事例について講演する。 |
17:10‐17:55 | (招待講演)再生医療と細胞接着 中村 健太郎 氏(富士フイルム株式会社 R&D統括本部 再生医療研究所) 概要: 近年実用化が加速されている再生医療の元となるバイオマテリアル 研究の世界では、古くから細胞と材料の界面・接着に対する研究が 行われてきた。細胞と材料の接着における基礎的な知見から、 近年の再生医療で必要とされている細胞接着/非接着性素材まで、 具体的な事例を含めて紹介し、 これから必要とされてくる細胞との界面制御について考えてみたい 。 |
18:00‐ | 交流会 |